• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1995 年度 実績報告書

中世イタリアにおける「大学」と支配者層の関係

研究課題

研究課題/領域番号 06610358
研究機関奈良女子大学

研究代表者

山辺 規子  奈良女子大学, 文学部, 助教授 (00174772)

キーワード中世イタリア / 中世大学 / 中世ヨーロッパ支配者層 / 法学者 / 中世ローマ法研究 / 公証人 / 書籍商 / 識字
研究概要

本年度はまず、昨年度中に史料が届かなかったためにおこないえなかった史料の整理から始めた。すなわち、chartularium studi bononiensisの整理である。ボロ-ニャ大学の基本的な史料であるこの史料を用いて、主として13世紀半ばのボロ-ニャ大学法学部のなかで、中心的役割を担った人々について個々の人物の経歴を時代をおってまとめる作業を行った。その成果として、Chartularium studi bononiensisとともにPadovaniのArchivio d'Odofredoを用いて、13世紀半ばの人気教師であるオドフレドゥスについて「法学者オドフレドゥスにみるステイタス諸相」をまとめた。これは京都大学人文科学研究所共同研究報告書『職業とステイタス』(前川和也編、ミネルヴァ書房刊行予定)掲載予定である。また、社会の関わりを明らかにするために、主として大学のテキストを取り扱う書籍商に注目して、その活動をまとめてみた。前述のオドフレドゥスも書籍売買を行っていたほか、著名な法学者として知られるフランチェスコ・ダックルシオは書籍売買に多額の投資を行っていた。また、書籍商ソリマヌスの息子マルティヌス・ソリマニは父の仕事を引き継いでいた。このように法学者自ら書籍売買に携わっていたほか、最も有名な書籍商として知られるのが、アルディティオ・グイド-ニ・ダ・ミラノである。大学の事務局長ともいうべき職を兼務していたアルディティオは、書籍商を代表して都市コム-ネの代表に誓いをなしており、都市社会で一定の地位を占めていたことが推測される。その産業規模からいっても書籍商は大学と都市とのつながりをよく示していることが明らかになった。このように、法学部と関わりの深い職業に注目しつつ、都市社会と大学との関係を、さらに実証的に示していくことが必要であり、次年度の課題としたい。

URL: 

公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi