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1996 年度 研究成果報告書概要

カロリング期北フランス・ベルギー地方における商品生産の研究

研究課題

研究課題/領域番号 06610364
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 西洋史
研究機関下関市立大学

研究代表者

丹下 栄  下関市立大学, 経済学部, 教授 (10179921)

研究期間 (年度) 1994 – 1996
キーワードカロリング期 / 商品生産 / 塩 / 穀物 / 葡萄酒 / wine
研究概要

1997年度は収集した史料の分析を進め、所領明細帳における穀物生産、商品流通に関する項目のデータベース化をほぼ完了した。併せて、経済活動に占める商品生産の位置づけ、中世初期社会における商品のありかたについて、特に地域形成との関わりに着目しつつ検討した。研究の全体としては、おおよそ次のような見通しを得るに至った。
(1)特に重点的に資料を収集した、塩、穀物、葡萄酒の3品目については、収集した史料を見る限り、商品生産に完全に特化した活動を検出することはできなかった。しかし塩、葡萄酒については、それが商品としての販売を視野に入れて生産されていた事例を、いくつか読みとることができる。また穀物に関しては、特に小麦が、大経営での生産の比重が高いこと、また運搬との関係で史料に現れる機会が他の穀物よりきわだって多いことからして、流通との関わりが最も深い穀物であると考えられる。
(2)協会大領主にとって、商品生産、すなわち生産物の市場への搬入は、キリスト教世界における富の適正な分配を実現するための、いわば社会的義務でもあった。カロリング期大領主による所領再編のなかでは、例えば葡萄栽培を流通に好適な地点で拡大しようとする指向が読みとれるが、その底流には教会領主に課せられた責務があったと考えられる。
(3)このようにカロリング期世界は、少なくとも一面では商品の生産と分配を通じて、空間的、また社会的に統合されていた。すなわちこの時期の商品生産のありかたは、狭義の経済活動の枠を越えたきわめて多面的性格を持っていたと予想されるのである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 丹下 栄: "「西欧中世期における塩の生産と流通-ロワールとロレ-ヌ-」" 『下関市立大学論集』. 36巻1号. 7-20 (1995)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 丹下 栄: "「市場アクターとしてのカロリング期協会組織-近年の動向から-」" 『市場史研究』. 16号. 34-41 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 丹下 栄: "「カロリング時代の市場と地域-パリ地方を事例として-」" 『比較都市史研究』. 16巻2号. 21-33 (1997)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Sakae TANGE: "Some Aspects of Commerce in the Early Medieval Europe : Ecclesiastical Organisation as a Actor in the Medieval Market" Journal of Market History. No.16. 132-138 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Sakae TANGE: "<<Region>> in the Early Medieval Europe" Seiyoshigaku Ronshu on The Studies in Western History. Vol.34. 107-113 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-03-16  

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