本年は本研究の初年度にあたり、当初計画していた以下の基礎的研究を行った。 1 文献資料および考古学的資料の収集:収集した主要文献は以下の通り。ブルガリアにおける中世集落研究の現状を把握するため、研究動向に関する文献。集落論を中心とする理論研究に関する文献(これにはわが国における集落論研究も含まれる)。ブルガリア地図(地形・気候・土壌・植生図等)、遺跡分布図および遺跡台帳。考古学的発掘調査報告。 2 同資料の整理・収集した資料をコンピュータを使って次の要領でデータベース化した。(1)参考文献目録(2)中世集落目録;遺跡台帳および発掘調査報告書ら遺跡毎の情報をまとめる。つまり、各遺跡の立地条件、規模、遺構(住居、貯蔵施設、墓等)、遺物(土器、金属製品、装身具等)である。 3 集落分布地図の作成:旧県別遺跡台帳を利用して遺跡の所在地を確認し、地図上に記入した。ただし入手した地図の縮尺が10万分の1から20万分の1であるため正確な位置関係を把握することが難しい。なお、現在ブルガリアでは、科学アカデミー付属考古学研究所が遺跡分布地図の作成中であり、まもなく利用できるものと思われる。 4 遺跡の踏査:現地で実施されている考古学的発掘調査に参加して周辺の中世遺跡を踏査した。この結果、中世集落の環境、規模、遺物等を実施調査することができた。 5 以上の研究活動で得られた成果を生かし、次年度以降さらに資料の充実を図り、データベース化を続け、「ブルガリア中世集落一覧」および「中世集落分布地図」を完成させる。
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