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1995 年度 実績報告書

多民族国家におけるコミュニケーション・システム

研究課題

研究課題/領域番号 06610372
研究機関樟蔭女子短期大学

研究代表者

川瀬 豊子  樟蔭女子短期大学, 日本文化史科, 助教授 (10195092)

キーワード古代オリエント / 古代イラン / コミュニケーション・システム / サトラプ制 / 駅伝制 / 馬
研究概要

前1000年紀後半オリエント世界を統一するのに成功し、史上はじめての規模で言語、宗教あるいは社会生活・経済生活の程度を異にする多民族を擁する国家の支配者となったハカ-マニシュ朝(アカイメネス朝)ペルシア帝国が、後代の「世界帝国」の範となるコミュニケーション・システム、たとえば宿駅制度・情報収集および緊急時の通信システム・公用語(アラム語)の採用・バイ/トゥリリンガルの通訳の配置など、を整備・拡充した経緯・方法を、ペルセポリス出土の王室経済文書(エラム語粘土板文書)のひとつ「城砦文書」の分析・検討の結果および同時代のギリシア語史料における諸事例の収集等により確認することができた。さらに当時の幹線道路の一部がすでに切石や砂利・砕石で舗装されていたことも、あらたに入手したイラン高原南西部における考古学的調査報告書によって追認することができた。
ハカ-マニシュ朝のコミュニケーション・システムのあるものが先行するオリエント諸国家の制度や伝統を継承・発展させたものであることはすでに指摘されているところである。しかしそれらがハカ-マニシュ朝治下においてはじめて帝国統治の一環をなす有効なシステムとして確立しえた最大の要因が、広範かつ積極的な馬の利用にあり、そしてそれを可能にしたのが王室の周到なる馬群管理システムにあったことを本研究では明らかにすることができた。まさにこれこそが、新興ペルシア人が3000年の歴史をもつオリエントの文明世界にもたらした最大の貢献のひとつである。

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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