本年度は研究計画の2年目に当たる。本年度内に予定していた文献等からの和鏡出土事例の抽出と、主要所蔵先への調査が終了した。文献の抽出は、カード化し、それをコンピューター上のマイクロソフト=エクセルに取り込み、データベース化をはかった。その結果、全国の出土例を様々な形で検索できるようになるとともに、データの追加訂正などの管理が容易となった。 次に、昨年度来継続して取り組んでいる和鏡の主要所蔵先への調査は、三重県鳥羽市八代神社と宮崎県南郷村神門神社への調査を行うことができた。その結果、まず八代神社では、和鏡の同型鏡例が発見できた。これまで和鏡はへら押し技法で一面ごとに下絵をなぞって文様を刻むために、同じ様な文様はあり得ても、同型鏡は無いと思われていた。今回踏み返しによる同型鏡の存在が明らかになったことは、和鏡鋳造技法の理解に大きな手がかりを提供するといえる。 神門神社では個別の写真とともに、集合の写真を撮ることができ、今後の出版の際に利用できるような写真を撮影できた。また各鏡の計測を、最近導入した、デジタルノギスでさらに正確に行うことができ、計測値の比較が、小数点以下第二桁目まで可能になった。
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