本研究では、今日本各地に生きて使われている「気づかない方言」に着目して、全国的な実態調査を行うとともに、周辺の概念を含めて理論的整備を図った。方言消滅の趨勢において、限られた人材・資金・時間で効率よく全国分布データを収集するために、学校・大学へのアンケート方式を採用した。 A.中学生集合調査……全国各県から2〜3校の中学校でアンケートを行った。録音テープを送付し、音声・アクセント・イントネーションの項目を含めた。コンピュータで県別グラフを作成した。アクセントをはじめ、興味深いデータを効率よく集めることができた。文法・語彙での共通語化が大変な勢いで進んでいること、新語にも新たな地域差が生まれつつあることが分かった。 B.大学通信調査……全国の大学への通信調査により「気づかない方言」の地理的分布図を作る作業も、順調に進んだ。10大学ほどの知り合いに依頼し、教室での集合調査でアンケートに記入してもらう方式で、ほぼ全国からデータを集めることができた。大学生アルバイタ-に入力を依頼し、パソコンによる分布図ができた。全員のデータを地図化するためには、プログラムの一部を変える必要があった。 以上の成果は朝日新聞日曜版のコラム「にほんごいちば」として報告した。またこれをまとめて、自家出版の冊子『にほんごいちば』として公開した。また生データも公開する。
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