1.歌舞伎台本(台帳)の調査・収集 本研究は『新黙阿弥全集』刊行のための基礎的段階として位置づけられる。したがって当該年度は調査対象を黙阿弥関係台本にしぼり、書誌調査と写真撮影を行った。特にその大半を所蔵する早稲田大学演劇博物館蔵本については、全台本の表紙ならびに良質の台本全丁の紙焼を収集した。 2.明治期の活字本の調査・収集 調査対象は〈演劇脚本〉と総称される明治期の活字本計246点、〈狂言百種〉全8巻計11点ならびに読売新聞に連載された7点である。このすべてについて、書誌調査を完了し、全丁の紙焼またはコピーを収集した。調査の結果、読売新聞本と初期の〈演劇脚本〉は初演時の形態を残しており、〈狂言百種〉も含めて『新全集』の底本・対校本たりうると判断される。 3.データベースの構築 以上の調査にもとづき、現在〈台本目録〉〈活字本目録〉の2種類のデータベースが構築されつつある。ただし本研究の特色は台本と活字本を共通の規格で扱う点にあるので、「研究成果報告書」では両者を統合し、演目ごとに台本と活字本のデータを一覧できるよう配慮している。 4.今後の課題 今後は、当該年度中に完了できなかった黙阿弥関係以外の台本を調査する一方、『新全集』に向けて演目と底本を選定し、本文確定のための作業を行う。
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