研究概要 |
本年度は古英語期に関する資料の調査をほぼ終えることができた。トロント大学のDOE Projectから古英語辞典のfaran,feran,gefaran,geteranの項目の執筆を依頼されたのが、資料収集の加速と充実につながったものと思う。発表としては7月,リ-ズの国際中世会議で“OE Habban+Past Participle of A Verb of Motion"と題するペ-パ-を読み、これはすぐさまオックスフォード大学名誉教授E.G.Stanleyの記念論文集に受理されて'96年夏活字になることになった。11月に京都(同志社大)で行われたKyoto Conferenceでは、ゲストにポーランドのJacek Fisiak教授を招いてlinguisticsとphilology双方の立場からのペ-パ-が読まれたが、ここではDouble Auxiliary構文をとり上げて発表、Fisiak教授から1996年8月のICEHL(国際歴史英語学会)で45分のペ-パ-を読むよう招 された。さらに11月18日の日本英語学会のワークショップを企画し、Fisiak教授をゲストに招いて古英語方言学の方法論について討論したが、この中で読んだfaranとferanに関するペ-パ-はChiba Reviewに記載すると共にDOEの項目執筆の基礎資料とする。さらにBeowulfにおける運動の動詞について東大の中世資料センターに報告したが、この際古英詩についてかなりまとめることができた。 この間、1993年にOxfordでの国際アングロサクソン学会で発表したprefixesに関する論文がASEから活字になり、また1991年にMouton(Berlin)の編集長から依頼されていた著書も11月末に出版された(出版年度は1996)。残りの年度については中英語の資料の充実と、運動の動詞の著書の執筆に努力する。
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