古英語運動の動詞の発達

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06610428
• 研究機関: 千葉大学
• 研究代表者: 小倉 美知子 千葉大学, 文学部, 教授 (20128622)
• キーワード: Old English / verbs of motion / verbal prefixes / perfect tense / auxiliary

研究概要

本研究は英語の運動の動詞の発達に関する綿密な調査により、従来の研究や文法書で明らかにされていなかった事実の発見と、より詳細な記述を含んだ研究書の執筆を目的とするものである。このため平成6年度を準備期間、7年度を成果の部分的公表期間、8年度を執筆期間と考えていたが、国内外の口頭発表の要請が予定を上回ったため、8年度も発表に当てざるを得なかった。ただし研究書としての骨格も内容もほぼ出来上っているため、この時点で研究は完了したと報告したい。著書の出版はすでにイギリスの出版社と仮契約が出来ているので、いずれ出版の事実を報告する。
準備期間の間にコンピューター本体とソフトを購入、古英語・中英語・古高ドイツ語・古フランス語・古ノルド語・言語学等、関連分野の書籍を購入した。また資料収集は国内では東大駒場の中世イギリス資料センター、京都大学、同志社大学を中心に写本のファクシミリ等を閲覧、国外では学会に参加・発表する前後の期間を利用して各大学図書館、Bodleian Library(Oxford)とBritish Library(London)を中心に写本研究を行った。成果の部分的公表としては3年間で口頭発表が国内5つ国外4つ、雑誌論文が国内は中世資料センターの方での科学研究費報告3つ、国外はすでに活字になったもの3つ、印刷中のもの7つ、投稿中のもの1つ、執筆中のもの2つ、著書は共著3つ、単著1つ(ドイツから出版)である。成果として国外でも認められたのは、(1)古英語の動詞接頭辞の機能が現代ドイツ語・オランダ語とは違う発達段階にあったこと、(2)運動の動詞の中に助動詞的機能を発達させたものがすでに古英語期にあったこと、(3)自動詞は完了の助動詞として近代英語までbe動詞をもちいていたと文法書にはあるが、古英語からhaveも用いていた実例があること、等である。完成予定の著書はThe Development of the Verbs of Motion in Medieval Englishと題し全8章から成る。

研究成果

• [文献書誌] Michiko Ogura: ""The Interchangeability of Old English Verbal Prefixes"" Anglo-Saxon England. 24. 67-93 (1995)
• [文献書誌] Michiko Ogura: ""OE Habban+Past Participle of A Verb of Motion"" Studies in English Language and Literature. 199-214 (1996)
• [文献書誌] Michiko Ogura: ""On the Beginning and Development of the Begin To Construction"" Studies in Middle English. (1997)
• [文献書誌] Michiko Ogura: ""Three Features of Old English Verbs of Motion"" English Studies. (1997)
• [文献書誌] Michiko Ogura: ""On Double Auxiliary Constructions in Medieval English"" English Histrical Linguistics and Philology in Japan. (1997)
• [文献書誌] Michiko Ogura: ""The Variability of OE Faran and Feran"" Festschrift for Prof.Matti Rissanen. (1997)
• [文献書誌] 小倉美知子(共著): "テイクオフ英語学シリーズ1『英語の歴史』(第2章中英語)" 大修館(松浪有編), xi+188 (1995)
• [文献書誌] Michiko Ogura: "Verbs in Medieval English,Differences n Verb Choice in Verse and Prose" Mouton de Gruyter, xxi+260 (1996)