初年度においては在米時代の新聞寄稿記事を中心にアメリカの公立図書館の司書、シンシナティー市立図書館のアルフレッド・クラインクローツマン主任司書、テュレーン大学のシルビア・メッチンガー貴重図書司書、コロンビア大学アジア図書館エイミ-・ハインリッヒ博士、ジャパン・センターの田中欣二博士の協力を得てマイクロ・フィルムの複写によって調査研究を進めた。 購入したプリンター、富士通FMPR-359によって文献の整理及び複写を行った。 この作業によって約500篇と予測されている未確認の記事のうち『シンシナティー・エンクワイアラー』とニューオリンズの『アイテム』を中心に約200篇を集成することができた。又、その成果によって『小泉八雲コレクション国際総合目録』(1991年)および『同目録補巻』(1992年)への大幅な追加が可能になった。在米の研究者や図書館員から来年度も引き続いて調査の協力を得ることができ、『シンシナティー・コマーシャル』の記事を中心に収集を行うことにした。 ただし、日本における英字新聞の調査は、資料の保存が不十分なことと、資料が分散しているため、予定通りの進展を見ていない。国立国会図書館、東京大学明治新聞図書館および横浜開港資料館によって調査を行ったが、目録が未整理なため逐次的作業を必要とし、多くの時間を要した。データの所在について一層の追跡が必要である。但し、英字新聞を頁ごとに確認する作業を通して、小泉八雲の周辺の外国人によって書かれた寄稿記事に触れることができ、その歴史的な位置付けを客観的に行う上で、多くの有益な情報を得るという、当初予想しなかった成果を得た。
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