前年度において在米時代の新聞寄稿記事を中心に、在米の研究者や小泉八雲のコレクションを持つ図書館司書4名の協力を得てマイクロ・フィルムの複写によって調査研究を進め、約500篇と予測されている未確認の記事のうち『シンシナティー・エンクワイアラー』とニューオリンズの『アイテム』を中心に約200篇を集成することができた。 しかし、日本における英字新聞の調査は、資料の保存が不十分なことと、資料が分散しているなど不十分な資料整理状況のため、予定通りの進展を見なかった。 本年度においては、日本国内の英字新聞に焦点を会わせて、国立国会図書館、東京大学明治新聞図書館および横浜開港資料館によって調査を行った。特に、横浜開港資料館が、資料の取扱が用意であることで、同資料館が保管する『ジャパン・ウイ-クリー・メール』、『ジャパン・ガゼット』、『ジャパン・アドバタイザー』など、1890-1904年に亘る資料を調査し、幾つかの貴重な資料を発見し、新たな歴史的事実を確認した。また前年に続いて、小泉八雲の周辺の外国人によって書かれた寄稿記事に触れることができ、その歴史的な位置付けを客観的に行う上で、多くの有益な情報を得た。 在来の研究者とは、研究成果を報告し合う形で協力を進めているが、ニュー・オリンズ市のテュレーン大学のシルビア・メチンガー氏の報告によれば、小泉八雲のニュー・オリンズ時代の作品は全て確認作業が終了したとのことで、残るシンシナティー時代の新聞資料の全体的確認を残すのみとなった。
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