1 昨年度に引き続き、おとなの文法の視点および文法獲得の視点からの束縛理論に関するこれまでの研究成果を整理し、これまでにすでに明らかになっている点とそうでない点を明確にした。 2 昨年度に引き続き、1の成果をもとに、現時点でもっとも妥当と思われる束縛理論を暫定的に構築し、その理論が文法獲得に対してどのような予測をするかを明確にした。たとえば、どのような経験が必要とされるか、種類の違う名詞類の分布に関する知識はどのように発現するかなどの問題に対しいかなる予測をするかを明確にした。 3 昨年度に引き続き、2の成果をもとに、英語・日本語文法の獲得の過程を実証的に調査した。調査の方法は、自然場面での子どもの発話資料の収集と分析によるもの、および、実験の実施およびその結果の分析によるものの二つである。実験による調査については、該当する知識を被験者である子ども(2-6歳児)から引き出すための効果的な方法を探るための予備実験をまず実施し、その上で本実験を行なった。なお、本年度は英語に関する実験の一部をアメリカ合衆国ボストン市において実施した。 4 研究の取りまとめを行い、今後の研究の課題と展望をあきらかにした。 5 研究の成果の一部を本年5月にアメリカ合衆国メリ-ランド大学で開催予定の国際集会で発表の予定である。(招待講演)
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