研究概要 |
現代フランス語の空間表示に関する前置詞、特に類似した用法を持つa,dans,surの意味と用法の違いを、電子化されたデータベースなど大量の資料を調査することによって明らかにすることを目的とする三年計画の研究の初年度である。本年度は以上の作業を行った。 1.前置詞の用法に関与するパラメータとして動詞、前置詞の目的語となる名詞(場所に関する意味を持つ名詞)、その名詞に付く限定詞の三つを取りあげ、それぞれの意味的分類を行った。 2.フランスで出版された文学作品のテキストデータベースであるDISCOTEXT 1を利用した試行的検索を行った。これは本格的な調査を始める前に、より有効な検索方法を検討するためである。 以上の1.2.の作業を基に来年度は本格的な調査、分析にとりかかる予定である。 3.関連する問題点として、他動詞構文で場所を表す前置詞句が持つ曖昧性について検討した。ここでいう曖昧さとは他動詞構文では前置詞句の表す場所が、主語の空間的位置づけを行う場合、直接目的語の空間的位置づけを行う場合、主語と直接目的語の両方の空間的位置づけを行うと考えられる場合の三通りがあるという意味である。このように一般的に曖昧であると考えられるにも関わらず、なぜ特定の文においては一定の解釈が可能になるのか、その解釈にはどのような要因が関わっているのかという点について検討した。この結果は近く公表される予定である。
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