研究概要 |
今年度の研究概要としては、多くの実例による構文型の分析、分類上の諸問題の検討・整理であるといえる。 1.構文型としては、(1)動詞要素を含まないもの(2)含むもの。(2)の中に(2-1)主辞機能を含まないもの(2-2)含むもの。(2-2)の中に(2-2-1)非人称主辞を持つもの(2-2-2)人称主辞を持つもの。(2-2-2)の中に、大きく分けて、a.直接目的機能を持つもの、b.直接目的、間接目的機能を持つもの、c.直接目的、直接目的属詞機能を持つもの、d.受動態のもの、e.代名動詞構文のもの、f.間接目的機能を持つもの、g.述辞が自動詞で目的機能を持たないもの、h.述部が「動詞+属詞」のもの、等がある。このような構文型の下位分類を量的に更に充実させる必要がある。 2.分類上の問題点の一つは、間接目的機能と分類基準には、ならない状況補語との区別である。これは構文の他動性の問題、特有・非特有機能の区別の問題でもある。 3.上の2.とも関連して今後の重要な課題は、各構文型の下位クラスを代表する個別の動詞の、実例に即した、構文と語彙・意味要素との関係の分析である。この為には対象となる動詞毎に用例分類を充実させねばならない。 4.もう一つの重要課題は、上の(2-2-2)a.〜h.の8つのグループが相互にどういう関係にあるかを明らかにすることである。例えば、d(受動態)はa,b,c(直接目的を持つ能動態)との関係が密接であるし、e(代名動詞構文)とa,b,c,dとの相互関係も重要である。また、(2-2-1)(非人称構文)とg(自動詞構文)との関係も無視出来ない。このような構文間の関係を上述の3.の個別の語彙項目との関連で明らかにすることが重要である。
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