本研究の目的は、日本人学習者にふさわしいハンガリー語教授法の確立と教材の開発をめざすことにあり、学習者が文字情報と音声情報と画像情報を同時に獲得することによって、ハンガリー語の単語を学ぶことができる教材を作成している。 具体的には、アップル社のパーソナルコンピュータとその上で動くプログラム支援ソフトであるハイパーカードを使用して、ハンガリー語の名詞の習得を目的とする図解辞典を作成中である。すなわち、コンピュータの画面に描かれた絵や取り込まれた映像の一部分、たとえば、「猫」の画像をマウスでクリックすると、「猫」を表わすハンガリー語の単語の綴りが画面に現われ、その単語が発音されるというものである。 本年度は、昨年度におおまかな構成案をつくり、入力を始めた図解辞典を拡張し、新しい図や単語の情報を付加していった。これが完成すれば、学習者は一軒の家のなかを移動しながら、各部屋にあるさまざまなものをクリックすることによって、ハンガリー語の単語の意味と綴り、発音を同時に習得することができるようになる。 ハンガリー語は単語のうしろにさまざまな接尾辞を接続させることによって、その単語の文法的な関係をあらわすが、不規則変化する単語にかんしては、その複数形、対格形、所有形を覚える必要がある。このため、この図解辞典には辞書部門を付加して、そこにそれらの情報をもりこむ予定である。
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