研究概要 |
平成7年度の研究目標は、(1)国内に在住する日系ブラジル人の音声知覚の単位の研究、(2)日英語バイリンガル話者の音声知覚の単位の研究、(3)日本語の音筋とモ-ラの関係を音声知覚の観点から明らかにする研究の三点である。 まず、(1)については平成6年4月から7月にかけて群馬県大泉町教育委員会の協力を得て、現地に在住の日系ブラジル人を対象に心内辞書表示の単位とオンライン時における音声知覚の単位を明らかにする研究を行った。いずれの実験においても予測したとおり音節が単位となっている可能性が高いことを明らかにした(第111回日本言語学会口頭発表)。(2)については日英語のバイリンガル話者及び英語話者の心内辞書表示における単位を明らかにする研究を行った。その結果、日本語話者、英語話者はそれぞれの母語の知覚の単位と考えられるモ-ラと音節を単位とし、バイリンガル話者は両言語に対して二つの単位を使い分ける可能性が高いことを明らかにした。この研究に関連して、日英語の話者を対象に心内辞書表示の単位について対照研究を行ったが、モ-ラや音節に加えて、bimoraic footの存在の可能性を明らかにした(Otake et al., 1995; 1995年度日本音声学会全国大会口頭発表)。(3)については昨年度の研究を踏まえて、オンライン時の日本語の音節とモ-ラの関係を研究した。オンライン時とは異なり、モ-ラの認識には音節が関与している可能性を明らかにした(Otake and Yoneyama, 1995;大竹・米山,1995)。
|