研究概要 |
Steinhowel 大集成本は複数の小集成本からなるが、相互の関係表がほぼ完成した。この関係表はデータベースに打ち込んであるので、いずれの側からも検索できるような索引の作成が可能になっている。後者に関してはいくつか既存の研究があるが、無いものについては申請者自身が訳註を作成し、またあるものは作成途上である。大小両者の比較により、小集成本の優先順位の確認、Steinhowelが用いた伝本の確定並びに各話の採択の基準への見通しが立てられた。 Steinhowelのテクストは中世ラテン語と所期新高ドイツ語のバイリンガル本であり、その本文の転写には通常のローマ字だけでは足りず、しばしば特殊文字、記号を必要とする。そのため各種のフォントを試用し、勝つそれらが円滑に作動するためのモジュールの装填という作業を要したが、補助金の運用によって最新のプリンターやソフトその他の使用が可能になった。これで最終的とは言えないまでも、取り敢えず当面のデータの記録・保存が可能になった。尚、フォントその他のソフト面の改変に伴い、プリンター及びその周辺機器にも変更が必要になることがしばしば生ずることがあることはお断わりしておかねばならない。 古刊本は現物を入手することが殆ど不可能なので、その使用にあたっては複写を用いるのが通常であるが、それでも近代の刊本には省かれているwoodcutの挿絵が多数差し込まれていることが認められる。本文の解釈にこれを参照した議論があり、(e.g.J.A.W.Bennett & D.Gray,Middle English Literature(Oxford,1986),18 note))、これらの記録・保存の必要性を新たに認識した。そのためこれらを映像入力により取り込む試みを開始し、そのためのツールの入手にも補助金を若干配分した。 研究分担者は代表者との緊密な連絡のもとに、主として東洋語文献からのパラレルを収集し、データベースに打ち込んだ。 Steinhowelの位置付けの確認のために研究史・書誌をも含めた概括的な原稿を既に数点完成したが、本年度内に印刷が終了したものは裏面に記した通りである。
|