1994年度から開始した、奈良県山辺群都祁村における(1)文書の収集、(2)墓地の配置図・墓石個票の作成、(3)戸籍および墓石個表のデータベース化はほぼ完了した。 1995年度は、墓石個票の作成及びそのデータベース化が中心となり、数千基を超える墓石をデータベース化した。 本年度の研究成果として重要なことは、 (1)墓石調査・データベース化の過程のなかで、墓地・墓石調査のフォーマットができあがったことである。墓石の大きさ・形・形態・建立年・戒名等の調査項目のフォーマットを定めたことと、データベース化のためのコンピュータ入力方式のフォーマットを定めたことである。これからの調査に一つのモデルを提供することができる。 (2)墓の形態としては、江戸時代以前から「個人墓」が登場し、江戸・元禄の頃から「夫婦墓」が登場する。「子墓」が登場するのは江戸時代中期以降であり、「家族墓」=家墓がこの地域で登場するのは大正期になってからのことである。このような傾向が実証的に明らかにされたことも有意義であった。 この調査データに関しては、本年度研究期間中にまとめ、ワープロ製本によってまとめる予定である。今後、順次データの分析を含めて研究成果を公表の予定である。
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