1.1990年の欧州連合(EU)の「非典型労働に関する指令および指令案」の研究により、以下の点が明らかになった。すなわち、非典型就業が拡大する背景には、世界的規模で行われている「労働の柔軟化」があり、指令案は、派遣労働、有期労働を「テンポラリー労働」として一括し、ほぼ同一の規制を行っている。この政策は基本的にフランスの立場に類似しているが、これに対して、ドイツ、イギリスは派遣労働をテンポラリーワークとしてのみ捉えることに反対している。 2.日本では、未だ非典型就業を統一的に理解する試みがなされていない。しかし、今後、テンポラリーワークとしての非典型労働規制の必要が高まると思われる。 平成6年度に行った調査によれば、派遣労働においては、請負による労働者投入により労働者派遣が偽装されているという指摘が労働組合からなされている。このことは、請負労働が派遣労働の代替的機能を果たしていることが伺わせる。労働省調査によれば、テンポラリーワークとしての派遣が拡大していることが伺われる。ここから、テンポラリーワークとしての非典型労働が拡大していることが推測できる。 現行法では、派遣は専門職派遣として定義され、テンポラリーワークとして制度化されていない。一方、テンポラリーワークとしての派遣と請負との区分はなされていない。また、有機雇用との関連性についても検討されていない。そこで、これらを法的に統一的に規制する必要性があると考える。
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