平成7年度は、(1)非典型労働には熟練・専門職型と非専門職型の二つの市場があり、不熟練型の非典型労働は主に市場の急激な変化及び需要の多様化に対応するために雇用労働力を円滑に調整する目的で利用されている、(2)非専門職型の派遣労働、請負労働、勇気労働は受入企業にとって相互に代替可能である。(3)この労働市場的分化に対応して、規制コンセプトを立てるべきである、の3点について研究を行った。 このために、北海道の派遣元事業全事業所にアンケート調査と6社の聞き取り調査(これには本社に行ったものを含む)、また、労働省『平成6年度就業形態の多様化実態調査速報』、日経連レポート、労働白書及びトヨタ自動車への聞き取り調査等により、上記(1)を実証する。上記(2)については、データの分析に少し時間を要する。 (3)については、ヨーロッパにおける有期雇用、派遣労働法制の研究、「標準的労働関係」をめぐるドイツの議論の分析等から、新たな知見として、ヨーロッパにおいては「労働市場の柔軟化」に伴って規制緩和の傾向にあるが、「非典型就業に対する常用雇用システムの優位性」を認め、テンポラリーワークに対して一定の規制を加える方向で統一化が図られつつある。 本年度は、こうした動向に応じて日本に法制の課題を提案している。
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