1.近代自然法学、重商主義、アダム・スミス、貨幣数量説などに関する古典および現代の研究文献を収集した。 2.グロチウス、ホッブズ、プ-フェンドルフら近代自然法学者とアダム・スミスの分業・協業・所有に関する認識を比較検討し、さらにJ.S.ミル、マルクスらの理論とも比較して17-19世紀における理論的発展を整理し、1994年10月24日に経済学史学会第58回大会で「分業・協働・所有」と題する学会報告を行った。 3.アダム・スミスの市場社会認識を「共感」と「見えざる手」の概念を軸に考察して、1994年11月9日に日本経済研究センターで報告するとともに、その内容を会報に掲載した。 4.ヒュームとアダム・スミスによる近代自然法学の社会契約説に対する批判について考察し、両者の理論の継承と批判の関係を明らかにした。現在ヒュームの社会契約説批判について論文を執筆中で、引き続きスミスについても論文執筆を予定している。 5.重商主義から古典派経済学にいたる貨幣数量説の系譜を、ロック、ステュアート、ヒューム、アダム、スミスなどを中心に検討し、さらにケインズによる貨幣数量説批判とマネタリストによる貨幣数量説の現代的再生について考察をすすめている。
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