本研究は理論的側面と実証的側面の両面から成っている。理論的側面については、第一に分割不可能財を伴ったone-sided modelにおいて情報の非対称性が存在する場合の競争的均衡の性質等を調べた。この研究では均衡の具体的特徴付けを行うことによって無限分割可能財のみから成る経済では存在し得ないような均衡が存在することなどが示された。第二にassignment problemにおいて「整合性」を含むいくつかの公理を用いてこの問題のコアを特徴付けた。この結果はある種の分割不可能財と貨幣を伴った一般均衡モデルにおける競争均衡の公理的特徴付けを同時に与えている。第三にマッチングモデルにおいて選好に外部性が伴っている場合に「安定性」の概念を適切に定義した上で、安定なマッチングの集合の諸性質を調べた。とりわけ、外部性がある場合、安定なマッチングは必ずしもパレート最適ではないが、少なくとも一つパレート最適かつ安定なマッチングが存在することが示された。第四に、分割不可能財と貨幣を伴ったone-sided modelにおいて価格が硬直的な場合に、「戦略的操作不可能性」、「パレート最適性」、「匿名性」を満たす資源配分メカニズムの設計可能性について考察し、これらの3条件を満たす資源配分メカニズムはただ一つしか存在しないこと示した。第五に、外部性のあるマッチング問題で、片側だけに外部性がある場合の安定なマッチングの性質を調べた。次に実証的側面についてはマッチング問題のケーススタディの一環として大学の付属高校から大学への進学者を配分・決定するメカニズムについて実際のケースに基づく研究を行った。
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