平等賃金の理論的系譜をさぐる上で、重要なキイワードである「家族賃金」の理論の整理を行った。 (1)「家族賃金」、「所帯」、「家計」の概念について ・古典経済学、新古典派経済学におけるこれらの概念を、それぞれの経済学の理論的文脈において、検討した。 ・家政学における仮定経済学、家庭管理論などにおける「家計」の概念における理論的検討をした。 ・労働組合運動における「家族賃金」理念の歴史と理論を分析した。 マルクス経済額における「家族賃金」と労働力の再生産の理論の検討をした。 (2)「日本型企業社会」論の検討 ・「日本型企業社会」における「年功賃金制」と「終身雇用制」の問題 ・「家族賃金」と日本的存在形態の分析 ・「日本的経営」の解体と「家族賃金」の解体傾向の分析 (3)「平等賃金」への移行と理論的諸問題 ・その現実的基盤の形成 ・パートタイマーの賃金理論 ・コンパラブル・ワ-スの理論と思想 ・イギリスとアメリカにおけるコンパラブル・ワ-スの理論の系譜 以上の諸論点について、文献資料を蒐集し、分析をすすめた。目下これらの諸問題を統一的に説明する論点について検討しているところである。
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