研究概要 |
本研究によりえられた理論的成果 (1)賃金におけるジェンダー化された概念は、性別役割分業と性別職務分離を生みだし、またこれらの分業によって、賃金のジェンダー化(性による賃金差別)が生みだされていること。 (2)平等賃金へのさまざまな政策についての、理論的意味と現実的効果を検討する必要があること。 (1)雇用機会均等政策(アファーマティヴ・アクションなど)の意味と効果 (2)同一労働同一賃金政策(コンパラブル・ワ-スなど)の意味と効果 (3)フェミニズムにもとづく性別分業解体政策(家事労働の社会化)の意味と効果 これらの政策が、歴史的かつ現実的にどのような意味をもってきたかを、アメリカ、カナダ、イギリス、そして日本を例に研究する必要があること。 次のような研究の成果をえた。 (1)ジョン・ステュアート・ミルにおける賃金理論のジャンダー化を明らかにしたこと。とりわけ性別役割分業の理論化と「家族賃金」理論の形成におけるミルの役割を明らかにした。 (2)19世紀末から20世紀はじめにかけて活躍したアメリカのフェミニスト,シャーロット・パーキンズ・ギルマンのWomen and Economics(1898)を分析して、「労働の平等」の理念がフェミニズム理論の中核をなすこと、またそれを実現する基本要件が家事労働の社会化であり、これは膨大な社会的分業のひろがりと商品化であることが明らかになった。
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