研究課題/領域番号 |
06630015
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研究機関 | 京都府立大学女子短期大学部 |
研究代表者 |
小野 秀生 京都府立大学女子短期大学部, 教授 (20046494)
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研究分担者 |
磯部 智也 京都府立大学, 女子短期大学部, 講師 (40232376)
武田 公子 京都府立大学, 女子短期大学部, 講師 (80212025)
上掛 利博 京都府立大学, 女子短期大学部, 助教授 (30194963)
小沢 修司 京都府立大学, 女子短期大学部, 助教授 (80152479)
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キーワード | 生活経済学 / 経済思想史 / アダム・スミス / カ-ル・マルクス / ケインズ / 制度学派 / ウォーラーステイン |
研究概要 |
従来の経済諸学説のなかに生活経済学的観点を析出し、それぞれの思想の歴史的背景を踏まえながら分析し、「生活経済思想の系譜」としてこれらの思想を系統的に整理し、有機的に関連付けるとともに、「生活経済」概念の明確化とその方法論の確立とをめざす、という本研究の目的に即し、本年度はさしあたり個々の研究分担者が担当分野に関して経済学説史研究上の成果を踏まえることに重点を置いた。また、随時共同研究会を開催し、研究分担者間の研究成果の相互交流・検討や、「生活経済」概念および方法をめぐる議論を行った。 個々の研究分担に関する研究成果は以下の通りである。まず、古典派経済学については、アダム・スミスの道徳哲学と「経済人」把握を中心に研究を行い、人間の生活と福祉にとっての経済のあり方を理論・歴史・制度の諸側面から統一的に解明したものとしてのスミスを再評価した。マルクスについては、女性問題、民族問題、南北問題といった現代の問題への照射という観点から検討を行い、人間的発達の諸条件と福祉社会実現の現代的理論としての再評価を行った。ケインズについては、その理論の全体構想を把握した上で、彼が理想とした将来の社会像とは何かを明らかにし、その達成手段としての福祉国家論を検討した。制度学派については、ヴェブレン、カップの「人間の経済学」を中心に、従来の経済学における「人間の不在」を批判し、経済学における人間性や生活の回復を図るという観点を明らかにした。ウォーラーステインの世界システム論については、その周辺部視座および「労働管理形態」「反システム運動」といった概念装置の検討を通じて、世界経済システムの枠組みにおける生活経済としての評価を行った。
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