研究課題/領域番号 |
06630015
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研究機関 | 京都府立大学女子短期大学部 |
研究代表者 |
小野 秀生 京都府立大学女子短期大学部, 教授 (20046494)
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研究分担者 |
磯部 智也 京都府立大学女子短期大学部, 講師 (40232376)
武田 公子 京都府立大学女子短期大学部, 助教授 (80212025)
上掛 利博 京都府立大学女子短期大学部, 助教授 (30194963)
小沢 修司 京都府立大学女子短期大学部, 助教授 (80152479)
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キーワード | 生活経済 / 経済学説史 / J.S.ミル / ピグウ / ハイエク / グラムシ / エコロジー |
研究概要 |
引き続き個々の経済諸学説の再評価を行うと共に、「生活経済」概念および方法をめぐる議論を行った。 1.19世紀資本主義における国内的諸矛盾を直視することを課題とした社会改良主義における生活経済思想 (1)J.S.ミル:貧困問題を分配問題として捉え、協同組合や土地改良などの社会改良運動を通じての公平な分配の達成と、それを通じての諸個人の能力の開花を目指した。 (2)ウェッブ:世紀転換期の新たな段階の貧困に対して、ミルの分配論を継承しつつ、人間の持つ統治能力に注目し、消費者民主制、生産者民主制、政治的民主制を通じての独自な社会改良論を打ちだした。 (3)ピグウ:貨幣の限界効用と資源の最適分配という観点から累進的所得税を通じた所得再分配が社会的厚生を最大化する、という独自の分配論を打ち出した点を評価した。 2.両大戦間期における生活や資本主義システムそのものの変容に関わる生活経済思想 (1)グラムシ:第一次大戦後のフォード主義の展開によって資本主義が変質を遂げたのか否かとの問題関心から、独自な概念装置を用いて、新しい民主主義社会と生活の創造の理論を打ちだした。 (2)ハイエク:グラムシと同時代の反ファシズム論者としての独自な国家論をもち、政府介入が資源配分を歪め、国民生活に強制貯蓄をもたらし得るという「政府の失敗」論もまた、独自に検討される価値があると考えた。 3.戦後の世界における多様で複雑な問題へのアプローチ (1)エコロジー経済学:経済活動が地球環境の汚染を進めたとの認識から、人間のニーズ、発達や進化、文化等の人間的要素を排除してきた従来の経済学の枠組み・前提を根底的に問い直すものとして評価した。
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