研究概要 |
戦後東アジア諸国の経済成長について、先行する日本をアジアNIESが追い、それをASEANや中国が追うという「雁行形態的発展」を一般均衡型多部門モデル(CGEモデル)で数量的に検証するため、10ケ国(インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・中国・台湾・韓国・日本・米国・その他世界)と9産業(農・鉱・軽工・重化工・ハイテクI・公益・建設・輸送・サービス)を対象とする国際リンク・システムがごく簡単なパイロット・システムの形で作成され、静学・動学の各種シミュレーションが実験的に試みられつつある。分析のポイントは、(1)東アジア各国および全体の産業構造変化のパターンが10年後20年後にどうなっているのか、(2)資源人口大国の中国が参入する場合とそうでない場合には雁行形態的発展パターンにどんな差異が生じて来るのか等である。このシステムとシミュレーション実験をあと3ケ月程かけて改善・精緻化し、6月末に米国カリフォルニア大学(デ-ビス校)で開催される国際シンポジウムで報告する予定である。報告論文は議事録(員文単行本)の1章に収録される予定である。 リンクCGEシステムに平行して、中国に関するかなり詳細なCGEモデルの作成が試みられ、金融部門を含む9産業体系が10〜20年の長期シミュレーションに耐えることが確認された。この中国モデルを,インフレ・国際収支・租税政策等の分析に適用し、中国経済に関する論文を1編、平成7年度中に完成する予定である。
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