研究課題
昨年度に引き続き、電機産業に属する日本企業について、東洋経済新報社『海外進出企業総覧』、『有価証券報告書』、通産省産業政策局国際企業課が実施した『海外事業活動期本調査』の個票結果、等をもとに海外進出の程度、輸出、現地法人からの逆輸入、研究開発集約度等のデータを入力、整理し実証研究を行った。研究により次の3つの結果を得た。1.企業の海外進出と日本の貿易収支電機産業に属する本社企業とその現地法人について、理論モデルを作成した後、パネルデータを使って海外生産が本社の輸出と逆輸入に与える影響を分析した。分析の結果、アジアについては現地法人の生産活動を高めた本社企業ほどアジア向輸出額が増えたが、逆輸入を引いた純輸出については減少する傾向が見られた。また、北米については、現地法人が生産活動を高めた本社企業ほど北米向輸出が減少したことがわかった。これらの結果は、少なくとも企業レベルで見るかぎり、海外生産活動の拡大が本社の生産活動の縮小を伴う可能性が高いことを意味する。2.海外進出が国内雇用に与える影響を理論的・実証的に分析し、分配効果は間接資本移動の効果よりむしろ小さいこと、輸出減・逆輸入増を通じた雇用減少は一部の産業で深刻な可能性があること、等の結果を得た。3.研究開発集約度等の企業の属性が、企業の国際化にどのように影響しているかを分析した。その結果、研究開発集約度の高い企業ほど海外進出する確率が高くなること、研究開発集約度の高い企業ほど在欧米現地法人の国内に比べた生産比率が高くなること、しかし在アジア現地法人については研究開発集約度の低い企業の方がむしろ海外生産比率が高くなること、等の結果を得た。
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