研究課題/領域番号 |
06630029
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
伍賀 一道 金沢大学, 経済学部, 教授 (20104870)
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研究分担者 |
横山 寿一 金沢大学, 経済学部, 助教授 (10200916)
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キーワード | 雇用の弾力化 / 労働市場の弾力化 / 労働市場の規制緩和 / 民営職業紹介事業 / 労働者派遣事業 / パートタイマー / 派遣労働者 / 契約社員 |
研究概要 |
◯イギリスおよびドイツにおいて、1990年代前半の不況期に失業者が増加したもとで、労働市場の弾力化、雇用形態の多様化(パートタイマー、派遣労働者、期限つき雇用など)にどのような変化が生じたかについて、両国の公的職業紹介所の統計資料や主要業界組織の資料をもとに分析した。ドイツにおいて94年8月より民営職業紹介事業が合法化されたが、それが労働市場にいかなる影響を及ぼしているかについて明らかにした。 ◯1990年以降の不況下で日本の労働市場において雇用の弾力化がどのように進んだのか、各種統計資料をもとに分析した。不況下においても非正規雇用が正規雇用を上回るテンポで増加していること、94年から95年にかけた正規雇用が減少に転じたのに対して非正規雇用は増加基調を維持していることが明らかになった。 ◯今日の非正規雇用のなかではパートタイマーが依然として主要な位置を占めているが、新たに期限つきの契約労働者の活用が派遣労働者を上回って広がっていることが判明した。 また公的統計で見る限り、正規雇用は91年から94年まで全体として増加しているが、大手の上場企業ではこれより先に減少に転じたこと、正規雇用労働者の中での労働移動(転籍や出向)が活発に行われていることが明らかになった。 ◯日本の労働市場の規制緩和政策として提起されている労働者派遣事業の対象義務の拡大、有料職業紹介事業の対象職業の拡大は、産業構造の転換のなかで生ずる転職者に対する対策として位置づけられるもので、失業者対策としての機能は弱いことをドイツの経験をもとに資料にもとづいて示した。失業者対策としては公的職業紹介機関の役割が依然として重要であり、民営職業紹介事業では代替できないことを明らかにした。
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