1.本研究は、欧米に進出した家電・OA機器メーカーが現地で製品の心臓部とも言うべきユニット部品の調達が不可能なため、もっぱら日本からの輸出あるいは東アジアの子会社からの輸出に依存したり、現地で内製化するといった状況に注目して、わが国独自のユニット部品下請企業の特質を解明すると共に、現地でそうしたサプライヤー育成の可能性を追求した実態調査研究である。 2.ここでは家電・OA機器産業の完成品メーカー、ユニット部品下請企業の典型を選別し、設定された面接項目に基づいて面接調査を行った。 3.調査の結果、国内でユニット部品下請企業が成長する過程で、発注元である親メーカーとの間に長期間にわたっての緊密な技術情報の授受関係が認められること、それは大企業→中小企業の流れだけでなく、積極的な下請企業サイドの貢献が評価できること、狭い範囲内では下請企業が技術成果のイニシャチ-ブが存在し、それ抜きにビデオとか複写機の商品開発の成功がありえなかったことが指摘できる。逆にわが国に比べ取引き関係の希薄な欧米諸国ではこうした面が欠陥となってビデオ、複写機の開発が成功しなかったといえる。さらに日本では下請企業の製造開発機能の活性化を図るため、協力会を土台とした情報ネットワーク関係をつくり出している点も注目されよう。 4.円高に伴い日本からのユニット部品輸出が困難となり、それに代って、ユニット部品下請企業の現地誘致が積極化された。また、欧米までの誘致が困難な場合、東アジアでの現地生産化も図られている。しかし、欧州におけるローカル・サプライヤー育成によるユニット部品生産展開は多くの場合成功していない。これの実現のためには長期間を要するであろう。最近ではEU諸国が日本企業と通産省の協力を得て、ユニット部品サプライヤーの育成計画が実行されつつある。
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