研究課題/領域番号 |
06630045
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研究機関 | 長岡短期大学 |
研究代表者 |
原田 誠治 長岡短期大学, 経営情報学科, 教授 (90228643)
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研究分担者 |
高橋 哲郎 長岡短期大学, 経営情報学科, 助教授 (90226853)
秋谷 紀男 長岡短期大学, 経営情報学科, 助教授 (00202549)
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キーワード | 新たな二重状態 / 地域産業政策の体系化 / 新しい地域産業システム |
研究概要 |
第1に、<新たな二重状態>の形成による創業メカニズムの崩壊が進行していること。川崎市は、高度成長期に京浜工業地帯の<ものづくりセンター>となったが、グローバル化期には<研究開発センター>へと転換した。<ものづくりセンター>期には大企業からのスピンアウト型創業が拡大、下請外注構造下の<集積のメリット=取引・技術・製品開発等の情報の柔軟な流通システム>が形成された。<研究開発センター>期には閉鎖型大企業体制による研究開発等情報の流通不能がベンチャー型企業の創業を困難にした。他方、信濃川地域ではグローバル化期でのローカリゼーション効果により加工組立型業種構成に変化したが、立地大企業と地域企業との関係は薄く集積のメリットは拡大せず、地域企業の創業が中心であった。両地域には異なった位相での<新たな二重状態>が形成された。第2に、グローバル化期での<地域産業政策の体系化・システム化>に失敗したこと。川崎市は研究開発都市化にともなう自治体産業政策を意識し先端産業育成のための施策を展開したが、施設づくりに留まる。信濃川地域では国の産業政策を受けてテクノポリスの形成に入るが、地域企業の研究開発型企業への転換を進めたものの、産学官システムは確立できない。高度成長型規制・制度や政策的発想の改革ができなかったためである。 第3に、<新しい地域産業システム>とその形成を推進する地域産業政策という視点の明確化が必要であること。今後、地域産業システム間のグローバルな競争が中心になっていく。<下請外注構造下の創業システム>に替わる<新しい地域産業システム>の形成が不可欠である。川崎市では<研究開発センター>化をシ-ズとした先端機械・情報産業分野、信濃川地域では大学・公的試験研究機関改革を媒介にした消費財・機械加工産業分野において、それぞれの新しい地域創業・起業化システムの形成が課題となる。
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