研究概要 |
本研究の目的は,航空規制緩和時代における空港の役割変化が,地域経営戦略に及ぼす影響を実証的に研究することである。研究初年度にあたる平成6年度は,次の2点を中心にすすめた。 第1に,文献や資料の収集とそれに基づく諸外国を含めた航空規制緩和の動向と地域経済の動向の把握である。航空規制緩和については,世界の航空業の再編がドラスティックに展開された結果,若干の見直しと空港の競争基盤としての役割強化がすすみつつあること,それにともなって,空港間競争が激化し,都市の盛衰もその影響をうけていること,日本における航空規制緩和には特殊な要因が存在すること,などを確認した。また,地域経済の空洞化傾向からは,地域をどのように国際化していくのかという地域経営戦略の中で,情報ネットワークの拠点としての空港の位置づけを明確にすることの必要性を感じた。 第2に,地方拠点空港の周辺地域および新空港建設計画をもつ地域を対象に実態調査を行った。平成6年7月名古屋空港,10月新千歳空港および周辺市町村,平成7年3月福岡県において,福岡空港の現状や新国際空港構想,新北九州空港計画,それにともなう周辺開発計画等の資料入手と,現地視察,ヒアリングなどを行った。これらの調査活動を通じて,地域経営戦略を展開する際の上位計画と下位計画とのかかわりの中にみられる縦割り行政にもとづく組織的統合・調整の不備,それにともなう補助金動向と計画遂行における事業主体のあり方についての問題点,とりわけ第3セクター方式の積極面と消極面について知見を得た。
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