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1.本研究の課題は、近代日本の農民家族について基礎的実証研究を深め、農民家族の世帯・経営・生活について総合的な把握を試みることにあった。継続2年目にあたる本年度の研究の結果、以下の成果をえた。
2.研究は、昨年度からの継続である『町村是』、小学校史料、壮丁調査史料の調査・分析と、今年度は新たに日中戦争から太平洋戦争までの戦時期の史料調査・分析を行い、明治中期から戦時期までの農民家族の変遷について見通しを得ようとした。
3.『町村是』については昨年度複写したものの分析を進め、『学籍簿』『卒業生台帳』などの小学校史料についても、昨年度収集した山梨県中巨摩郡落合村、東京府北多摩郡田無町、岐阜県稲葉郡長良村の史料分析を進めた。また関連して東京府豊多摩郡中野町の小学校史料について調査を行った。兵事関係の壮丁調査史料は、山梨県南都留郡西桂村のものの分析を進展させ、さらに山形県庄内地方で調査を行った。
4.今年度は、新たに戦時期の農民家族について調査を行った。戦前・戦時に調査を豊富に行っていた労働科学研究所に集中的に通い、同研究所所蔵の調査報告書などをくまなく検討した結果、戦時期における農民家族の変化をほぼ把握することができた。戦時期については、昨秋の土地制度史学会大会共通論題で共同報告を行い、日本の戦時労働力動員は、他国と比較しても農民家族や中小商業者などの家族経営に依拠する割合が高いことを指摘した。この報告は裏面に記したように1996年4月刊行の『土地制度史学』に掲載される予定である。
5.以上の調査・研究を通じて、近代日本の農民家族については、明治中後期と第1次大戦後、戦時期の3つの時期を中心に検討をすすめている。来年度は調査3年目にあたるので、研究をさらに進め、今までの成果をまとめる予定である。
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