本研究の課題は、次のような相互に関連する3つの問いに答えることを通して、日本的雇用関係の歴史的形成過程を解明することである。 (1)職員層について<日本的雇用関係>はなぜ、いつ、どのように形成されたのか. (2)労働者層について、産業化の初期段階における雇用関係は国際比較の観点からみてどのような特徴をもっていたのか. (3)職員層から労働者層への<日本的雇用関係>の拡延が、なぜ、いつ、どのように起ったのか. これに対して、本年度の研究の成果は以下の通りである. (1)(1)の課題を遂行するための基礎的データとなる、官営八幡製鉄所の職員の履歴書を収集・整理し、分析に着手した. (2)(3)の課題については、戦間期に工場秩序の根幹をなしていた職工員の身分制度が戦時・占領期にどのように変容・崩壊したかを解明した論文を、英文と邦文で作成した.これらは近日中に公刊される予定である.
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