主要製造業等に対してインタビュー(質問紙調査)を行い、ロジスティクス戦略および組織に関する基本的な事項を抽出した。その結果、当該企業の業種、扱い製品(サービス)、事業範囲、販売範囲、調達先の範囲、顧客特性、当該企業の経営課題、情報システムのレベルなどによって、ロジスティクス戦略および組織の在り方は変化することが推測された。とくに、当該企業や業界が抱える経営課題によって、調達先や顧客との機能分担や連繋の在り方が変化し、そのことによってロジスティクス戦略および組織の方向性が規定されていることが予想された。さらに、人的資源や知識・情報の蓄積、在庫や設備などの物的資源、情報処理能力など広範囲な経営資源との関連が注目され、なかでも人的資源の有効活用および在庫の圧縮と拠点ネットワークの構造変化との関係がロジスティクス戦略・組織の在り方に重大な影響を有していることが予想された。 一方、ロジスティクス戦略・組織の在り方との関係が注目されるロジスティクス業務・システムの設計・運用に使用可能な情報処理ソフトについて調査したところ、現在開発中のソフトを活用できることが確認された。こうしたことからロジスティクス情報処理・通信システムの発達によりロジスティクス戦略・組織の在り方が大きく変化する可能性について確認された。以上の知見について検討を重ね、これらの仮説を検証すべく質問紙調査が設計され、750社に対して郵送法により実施した。これらの回答を回収し集計分析することによって仮説の検証を試みわが国の企業におけるロジスティクス戦略・組織の在り方について多角的に検討する。
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