平成6年度では経営倫理をめぐる諸論者の研究成果を文献研究ならびに研究者との交流のうちに把握・整理し、経営倫理研究の経営学研究上の位置と意義の明確化に、ならびに企業経営の経営倫理の内在化に係わる経営原理の展開に努めたが、平成7年度ではこのことを踏まえつつ経営倫理の企業経営内在化をめぐる今日的課題を中心に、前年同様文献研究ならびに研究者との意見交換を通して研究を進めた。 まず、倫理指向の企業経営へと導く経営原理を共生と共同の概念に依りつつ更に検討し、その結果を経営行動研究学会全国大会の統一論題報告で述べるとともに、経営行動研究年報に発表した。また、経営倫理の企業内在化にとってとりわけ重要と思われるところの、経営理念と企業行動基準への経営倫理の織り込み、及び経営理念と企業行動基準の組織浸透問題について検討し、その成果を、研究代表者を編著者に含む、図書で明らかにした。更に、企業経営をめぐる今日的な倫理的課題としての企業の国際貢献や社会的責任投資に関しても考察し、その成果の1部を論文(直接には財団助成による海外学術調査研究の成果の一部であるが、研究の基礎をなす概念と理論は本研究によるところが大である)、ならびに日本経営財務研究学会全国大会での自由論題コメントで発表した。なお、平成6、7年度の研究成果の一端について、日本経営学会全国大会でも統一論題報告に対する討論者として論じている。 現在、以上のような平成7年度の研究成果、ならびに平成6年度のそれを中心に、従来からの検討結果を考慮しつつ研究結果のまとめを行っており、その成果を主要構成要素の1部とする単著を年内に刊行の予定である。
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