本年度は、まず研究計画に基づいて平成6年度に実施した製造業の調査の第二次の分析を行った。その成果の一部は、平成7年12月に第32回オフィス・オートメーション学会全国大会で発表するとともに、同学会誌第16巻4-2号に掲載している。またさらにこの研究を深めた論文をつくば国際大学『研究紀要』第2号に投稿した。これらの研究を通じて、昨年度の第一次分析で得られた結果を確認するとともに、当核本社企業と海外関係会社の間の国際通信ネットワークの構築状況に着目し、回答企業を国際専用回線利用企業、国際公衆回線利用企業、非構築企業の三つに分類することによって、グローバル経営戦略とグローバル情報技術の関連が明確になるという新しい知見が得られた。 つぎに本年度の研究に必要な文献、資料・報告書等を収集し、調査して、非製造業を対象とした理論的な仮説と調査研究のフレームワークを構築した。調査では、海外からの仕入高を導入するととも、海外各地域における現地販売体制と本社と海外関係会社の間に輸出入を組み入れた。また新たな情報技術として注目されているインターネットについても、その利用段階、サービス内容、対象業務などを調査している。アンケート調査は非製造業の海外活動の高さを基準として270社を対象として実施し、87社から回答を得た。このアンケート調査の結果の主要項目について第一次の分析を行い、それを中心に平成7年度(第二年次)報告書「わが国企業の経営戦略とグローバル情報技術に関する実証的研究--非製造業のグローバル経営戦略とグローバル情報システムに関する実態調査--」としてまとめた。現在この報告書を回答してくれた調査対象企業および関係者の方々に配布する作業を進めている。非製造業は多様な業種を含むとともに、企業・業種ごとのグローバル化、グローバル情報技術の格差が大きい。この調査の詳細は平成8年度の最終報告書に掲載する予定である。
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