本年度は、まず過去2年間の研究を踏まえて調査結果の再分析と補充調査を行い、その内容を要約した。研究結果は最終報告書の第3章製造業のグローバル経営戦略とグローバル情報技術、第4章第三次産業のグローバル経営戦略とグローバル情報技術として掲載している。つぎにわが国経済・企業のグローバル化について研究を進めた。まず経済的側面から、貿易と対外直接投資、企業の側面から、その現状、海外進出動機と投資目的に関する研究を行った。特に対外直接投資は過去2年間の研究との対応から、製造業と第三次産業に分けて検討している。研究の結果は最終報告書の第1章わが国経済のグローバル化、第2章わが国企業のグローバル化の現状と目的に集約されている。 研究計画の第二の課題であった新しい情報技術に関する研究は、過去2年間の調査を発展させたものである。そこで本研究に関連が深いと考えられるグループウェア、イントラネット、CALS、EDI、インターネットについて、平成6年度、平成7年度の調査でグローバル情報システムを構築していると回答した94社を対象にアンケート調査を実施し、68社から回答を得た。分析結果は最終報告書の第5章グローバル企業に対する新情報技術の実態調査として収録されている。この調査によって、インターネットはほとんどの企業で利用されていること、EDIも伝統的な部分もあるが利用率が高いこと、グループウェアは80%近い企業で導入されているが、イントラネットは多くの企業が関心を示しているもののこれからの課題であること、CALSの導入は一部の企業のみであることなどが明らかになった。既存システムや既存のネットワークに関しては、それぞれの利点を生かし併用するとするものが多い。また新情報技術は基幹系よりも、OA系や情報系で利用されているなどである。
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