日本的生産システムはその高い効率性と品質を生み、強い国際競争力の形成要員として国際的に評価され、1990年代初頭以降、欧米からアジア・アフリカに至るまで広く、このジャパナイゼーションの動きがおきている。こうしたなかで日本的生産システムの普遍性と特殊性も、それぞれ具体的な事例を通じて明らかになってきたといえる。OJTを通じた多能工化の取組みや改善活動は欧米諸国でも、労働のフレキシビリティとして広く工場レベルで導入され、これまでの労働の編成や作業組織の改革の推進力となってきている。 本研究では上記のような国際的動向を解明し、そこで問題とされてきている課題が最近の日本の自動車工場においていかなる改革の方向(例えば「人にやさしい工場づくり」)で取り組まれているかを明確にすることができた。こうした研究と調査の成果の一部は、『日本的生産システムとフレキシビリティ』(1995年、日本評論社)として公刊することができた。
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