公認会計士が適正意見を表明しているにもかかわらず、企業不祥事が多くみられ、会計監査の有効性に疑問が見出れている。不正は不実行為であり、経営者不正には明らかに不正行為を伴うものと、発覚すれば不正行為となるものがある。監査ではすべての不正問題に直接肉薄することが難しいものの、経営活動は会計に記録されてくるので、財務諸表の上に「重要な虚偽記載として表示されるものを把握する。公認会計士監査における適正監査は「不正摘発を主たる目的とはしない適正監査」から「不正摘発を主たる目的とする適正監査」へとパラダイム変革があったと言える。アメリカでは、1961年のマウツ・シャウフの『監査哲学』1978年のコーエン委員会報告書、1987年のトレッドウェイ委員会報告書等では、不正は経営者不正を問題としている。内部統制は「内部牽制と調整→内部牽制と統制→内部統制組織→内部統制機構」のように変化してきている。これは従業員不正の発生は経営者の管理、統制に不備があるため、内部統制組織の整備充実によって予防しようとしてきている。内部統制は内部統制組織と経営環境から構成されるので、経営環境の把握を通して経営者の誠実性をチェックすることによって経営者不正の予防を行っている。監査上の不正は従業員不正の発見・防止から従業員不正と経営者不正の発見・防止へさらに経営者不正の発見・防止へと変化していることを、監査論の書物の上で検証している。
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