研究概要 |
1.桂田によって得られた局所密度に付随する多変数べき級数達の間の関係式を用いてこのべき級数の重要な性質を導いた.特に,これの分母を正確に求めた.さらに、進んで局所密度の厳密な漸化式をある条件のもとに求めることができた.この結果について,北岡良之氏(名古屋大学)と討論を行った.以上の結果ついてはその一部を1994年度国際数学者会議,および1994年日本数学会秋期分科会等で公表した. 2.1に述べた関係式を用いてジーゲル-アイゼンシュタイ級数のフーリエ係数の間の関係式を求めた.またいくつかの場合に厳密な値を計算した.特に,次数が3のジーゲル-アイゼンシュタイ級数のフーリエ係数の厳密な公式を求めることがでいた.これは,研究当初予期しなかったことである.この結果は,1995年度日本数学学会春季分科会で公表予定である. 3.つい最近,伊吹山知義氏(大阪大学),齋藤裕氏(京都大学)によって行われている対称行列のゼータ関数の研究との関連が明確になった.この結果をもちいて次数3のジーゲル-アイゼンシュタイン級数に付随するマ-スゼータ関数の精密な形が求められた. 4.当初計画していた研究目標はほぼ達成された.さらに,2,3でみる様に,本来,7年度に達成すべき目標が今年度に達成されたことは望外の喜びである。
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