研究分担者 |
金戸 武司 筑波大学, 数学系, 講師 (70107340)
八牧 宏美 筑波大学, 数学系, 助教授 (60028199)
山形 邦夫 筑波大学, 数学系, 助教授 (60015849)
森田 純 筑波大学, 数学系, 助教授 (20166416)
竹内 光弘 筑波大学, 数学系, 教授 (00015950)
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研究概要 |
V.Jonesは作用素環論における部分因子環の組織的な研究を創始したが,それに関連してパラグループという新しい概念が部分因子環の分類の為にA.Ocneanuによって導入された。パラグループは作用素環論(関数解析学)の言葉によって記述されてはいるが,その内部構造の殆んどの部分は有限的かつ組み合わせ論的な構造によって理解される。本研究は実際は数年前から引き続き行なっているものの継続であり,本年度は特に対応する指数が整数値を取る場合のパラグループに付随する有限次元,かつ半単純な代数系を公理的に定式化する研究を行なった。この代数系は我々が特に淡中代数と呼んでいるものであるが,これは通常の有限次元半単純ホップ代数であってトレースを持つものを一般化したものである。この代数系の記述には,これまではもとの代数とその双対系を表わす代数との間をつなぐフーリエ写像というものによって全体の系の公理化をするという方法を取ってきた。しかし本年度の研究によってこの代数系の特徴付けがフーリエ写像を用いることなく,もとの代数系(あるいはその双対代数系)のみを用いることによって公理的に記述することが可能なことが判明した。これによって今後はこの新しい公理系を用いることによって研究を進めていくことになる。なお,対応する指数が整数値でない場合のパラグループに付随する代数系は有限次元的なものでは記述できない為,このような場合に対応する理論構成はこれまでのような方法によって代数的に整備することは不可能であると思われる。また有限次元かつ半単純な代数系である淡中代数が付随する場合であっても,我々が現在までのところ持っている具体的な実例は全て有限群を用いて構成されるものである。従って本質的に有限群を経由しない実例を組織的に構成することも今後の重要な課題となる。近年になって有限群論,グラフ理論や代数的組み合わせ論に使用できる高性能のコンピュータープログラムが幾つか開発されていることもあるので,今後の実例発見のための研究にはコンピューターを用いた実験的な研究が重要な役割を果たすことが期待される。
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