研究課題/領域番号 |
06640017
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀川 穎二 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40011754)
|
研究分担者 |
木村 弘信 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (40161575)
野海 正俊 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (80164672)
小林 俊行 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (80201490)
岡本 和夫 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40011720)
|
キーワード | 超幾何関数 / 量子群 |
研究概要 |
この研究では、多変数の超幾何関数の群論的な構造を研究の主題としている。ゲルファンドによる超幾何型のホロノミック偏微分方程式系の発見により、ガウスの超幾何関数はグラスマン多様体上の多変数の超幾何関数に拡張され、これらの関数の持つ変換公式と隣接関係が一般線形群の作用から自然に定義されることが判明した。その結果として、従来知られていたガウスの超幾何関数の場合にも新しい観点が生まれたと考えられる。その例としてI変数超幾何関数のq-類似関数について、その隣接関係を定めるq-差分作用素の計算が可能となり、それらの作用素全体がSL(4)の量子展開環をなすことが判明したのであった。さらにその発展として、ゲルファントの定義したグラスマン多様体上の超幾何関数の場合の隣接関係が一般線形群GL(n)の作用で説明できることに注目して、それを拡張した形でq-類似の場合にも隣接関係を与える差分作用素を定めることができた。これらの作用素の全体は対応する量子群の表現を与えるものである。 もう一つの興味深い場合として、シンプレクチック群Sp(2n)に対応する場合が考えられる。この場合には交代形式のある2n次元ベクトル空間を考え、そのラグランジアン部分空間の作るグラスマン多様体の上で定義される関数で超幾何形のホロノミック系をみたすものを考えるわけである。qがつかない場合にはその隣接関係を与える微分作用素の計算はできていたのであるが、本年はそのq-類似の場合の計算を遂行してほぼ満足すべき結果を得た。ここでもC型のディンキン図形に対応する量子展開環が現れることがほぼ確実である。
|