研究課題
有限体 F=GF(q)の上の種数gの1変数代数関数体Kにおける1次素因子の個数をN_1と表すとき、不等式 1N_1-(q+1)1≦2g√<q> が成り立つことがすでに証明されていて、この不等式はリーマン予想の類似と呼ばれている。特に等式N_1=q+1+2g√<q> が成立するような1変数代数関数体は極大体(maximal field)と呼ばれ、また等式 N_1=q+1-2g√<q>が成立するような1変数代数関数体を極小体(minimal field)と呼んでいる。このような極大体と極小体を解明することは研究テーマの一つであり、特に素数pと正整数gを与えたとき、標数pの有限体の上の種数gの1変数代数関数体Kで極大又は極小となるものが存在するかどうかを調べることも具体的な問題である。この問題はHasse-Witt行列とも密接な関係があり、Hasse-Witt行列が零行列である場合やHasse-Witt行列のベキ乗が零行列である場合を調べることが問題の解明に有効である。我々の従来の研究ではフェルマ-型の代数関数体や超楕円関数体におけるHasse-Witt行列を調べてきたが、その際の超楕円関数体の定義方程式はy^2=x^<2g+1>+a と y^2=x(x^<2g>+a)のタイプであり、この二種類のタイプだけで極大体と極小体の存在性を究明することは不可能である。本研究ではこのタイプとは異なった定義方程式を持つ超楕円関数体で、そのHasse-Witt行列が零行列となるものやHasse-Witt行列のベキ乗が零行列となるものを究明し、今回数種類の定義方程式のタイプを求めることができた。しかし現時点では理論構成が不十分で、今後もさらに研究を続行する予定である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)