研究概要 |
我々の目的は正標数のときに有限群のコホモロジー環の構造を調べることである。有限群のコホモロジー環は標数が2のとき可換,奇素数とき歪可換な次数環である。その構造はあまりに複雑なので,まずその本体といえるuniversally stable elementのなす部分環について調べる。主な結果は次の2つのことである。 1.最初の結果はextraspecial群に関するものである。ここでは標数が2つであるとする。universally stable elementのなす部分環はStiefel-Whitney類の生成するコホモロジー環の部分環を含んでいるが,我々はこの2つの部分環が非常に近いということを明らかにした。後者は多項式環である。特にextraspecial群に付随する2次形式が4元数型のとき両者はコホモロジー環の巾零根基を法として一致する。実例の計算には数式処理言語による不変式の計算が必要であった。(J.Algebraに発表予定。) 2.元に戻って標数が2又は奇素数とする。"stable"はSylow群が正規なときは"invariant"と同義である(Cartan-Eilenberg 1956)が,一般の場合の意味は40年近く不明であった。我々は自己同型群まで込めて考えると"stable"がやはり"invariant"と同義であることを明らかにした(数理研講究録877)。
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