本年度の研究では、Association Schemeの表現論について、大きな進歩が得られた。 距離正則グラフは、非常によいクラスのAssociation Schemeとも考えられるが、Association Schemeには、組合せ的構造と共に、代数的または、表現論的ともいわれる性質がある。 表現論の利用のためには、距離正則グラフと相対の対象とも言える、Q-polynomial schemeの研究は欠かせないが、いままで、殆どなされていなかった。昨年度の終盤から、Neumaier diagramというものを使って、表現に関係したparametersの等式を得るという新しい方法が、Garth Dickieや、鈴木によってなされ、この分野に新しい道具を提供することとなった。これにより、長い間、未解決であった非原始的なQ-polynomial schemeの特徴付けの定理、および、複数のQ-polynomial orderingを持つ、association Schemeの特徴付けが鈴木によって満足できる形で得られた。そこで用いられた手法は、単に、Q-polynomial schemeにのみ、応用されるものではなく、様々な応用が試みられている。そのうちの一つとして、有限群の指標の理論への応用もあり、指標の理論の中では得られなかったものも、証明され、表現図式にたいする一般的定理、また、特別な表現図式を持つ群の分類へと発展している。このことは、Terwilligerによる球面上の有限集合に関するbalanced conditionの研究と相まって様々な発展をし始めている。今後の進展が期待される。 低次元のbalanced setの分類、Norton代数の応用等も、実を結びつつあり、今後に期待される。 これらの結果については、5月18日、上海での組合せ論国際シンポジウム、7月27日、山形での代数学シンポジウム、11月20日、モントリオールでの距離正則グラフ国際研究集会で発表した。また、フィリピン、De La Salle大学での7月の講義を、元にした講義録も執筆中である。
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