研究概要 |
I.3変数完全交差環の一般元の挙動の研究 定理.kを標数0の体とし、Rをk上の3変数多項式環(変数の次数は全て1とする)、I=(f_1、f_2、f_3)を正則列で生成されるイデアルとし、f_iの次数をd_iとする.2【less than or equal】d_1【less than or equal】d_2【less than or equal】d_3と仮定しても一般性をそこなわない.LをRの一般元とするとき、次の2つの条件は同値である:(i)μ(I+LR/LR)=3.(ii)d_3【less than or equal】d_1+d_2-2. 系.定理と同じ記号の下に次が成り立つ:(i)d_3>d_1+d_2-2⇒μ(I:L)=3.(ii)d_3【less than or equal】d_1+d_2-2⇒μ(I:L)=5 上記の定理により、平成6年の申請時の「研究目的」で述べた「3変数完全交差環」についての、「弱Lefshetz条件」は以下の3つの場合に肯定的に解決出来た. 1.d_1【less than or equal】3,d_2【less than or equal】3(∀d_3) 2.d_3【greater than or equal】d_1+d_2-3 3.d_1=4,d_2=4,d_3【double plus】4. また系で述べられた結果、研究計画の時点では予想できなかった.一方、「弱Lefschetz条件」に関する未解決の、最も簡単な場合はd_1=d_2=d_3=4の場合である.この場合、コンピュータを使って反例を作る事も考えられるが、変数の数(3つの3変数4次式の係数)が膨大になるため、単純にはできないだろう.一方上記の定理を高次元に拡張することも考えられる. II.動く端点を持つ振動弦の挙動の研究 周期的に動く端点を持つ振動弦の挙動を詳しく研究した。最も一般的な結果は次の通りである。両端点がリサージュの図形を描きながら動く場合の弦の振動の数字モデルは、周期境界条件と周期境界関数をもつ線形斉次1次元波動方程式の初期境界値問題である.2つの境界関数によって表される単純な合成関数のPoincareの意味の′回転指数′及び境界条件・境界関数の周期があるDiophantine近似不等式を満たすならば、すべての解は準周期的である.これより、ルベ-グ測度の意味で′ほとんどすべての′周期境界条件及び周期境界関数に対し解は準周期的となる.更に、解はR^2平面全体に波動方程式を満たす準周期関数に拡張され、解の特異性は特性線に沿って伝播する.本研究により、解の挙動には数論のいくつかの基本的性質が本質的に関係していることが分かった.
|