代数的数で超越数を近似するディオファントス近似を用いて代数多様体.とくに代数曲線の整数点を求めることについて考察するのが本研究の課題である。本年度はこの手法の基礎となるディオファントス近似について.代数群が単純アーベル多様体の加法群Gaによる非自明拡大で.かつ代数体上定義されている場合に.その指数写像による有理点の逆像の座標の代数的数一次結合の絶対値の下からの評価について一般の場合よりも主要部分を改良するという結果を得た。これは特に代数群が楕円曲線の加法群による非自明拡大であった場合の指数写像の周期に適用するとE.Reyssatの結果を導く。従って単純アーベル多様体の擬周期のディオファントス近似についての改良も得られることになる。証明には代数群上の零点評価についてのP.Philipponの補題を用いてN.I.Feldmanのアイデアを使い、代数群のアーベル多様体部分と線形部分とをわけた指数写像のとり扱いをおこなった。アーベル多様体が単純でなくてはならないという仮定は代数群の部分群のうち零点評価のboundを悪くする状況を除くためにしている。
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