研究課題
研究代表者(佐藤)は実4次元ローレンツ多様体のヌル方向全体のなすツィスター空間に概複素構造を時間的なベクトル場を指定することにより与え、その積分可能性が曲率テンソルのある既約成分の消滅と同等であるという結果を街田芳徳との共著の論文として発表した。積分可能な具体的な例としてロバートソン-ウォーカ-時空の完全流体ベクトル場が挙げられる。さらにツィスター対応を種々の実幾何構造の関係として一般化し、外微分形式論により表現される微分方程式の幾何学的同値問題および不定計量を持った曲がった空間の理論との関係を調べた。そこに現れる構造として、射影構造、グラスマン構造、ローレンツ構造、球面接触構造、純粋スピノール構造、中性構造、接触構造、ラグランジュ構造があり、それらの積分可能性が階数付きリー代数をもとにして構成されるカルタン接続の曲率の関係として、有機的に関係づけられる。土屋は共形場の理論を質量のある場合に構成するという困難な問題をヤンギアンというカレント代数の普遍包絡代数の変形を用いて解決している。塩田は解析集合の研究が数学基礎論と密接な関係があることを発見し基本的な結果を得ている。大和はそのエネルギーが完全積分可能な力学系でその第1積分達が美しい形で表せるというリーマン多様体を楕円面の共形変形という手段で構成することに成功した。江尻は極小埋め込みの変形をツィスター理論との関係を用いることで調べた。小林は微分幾何学に複素幾何学、代数幾何学、微分方程式論といういろいろな手法を導入することに成功し、さらには、逆に数論の幾何学化という野心的な問題に道筋を開いている。
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