研究概要 |
我々は多様体上の幾何構造と位相構造との関係を次の方法で調べた.H.WeylはGauge理論の観点から多様体上のRiemann計量の取り方に依らないConnectionを導入した.この概念は現在,Conformal Structure(共形構造)と呼ばれ,また彼は微分幾何において基本的となる共形不変量を構成した.その不変量はWeyl Conformal Curvature Tensor(共形曲率テンサー)と呼ばれている.共形幾何学における基本的な結果はn次元Riemann多様体M^n(n>3)上のWeyl共形曲率テンサー(n=3のときSchouten-Weylテンサー)が消滅するならばそのときに限りM^nはflat euclidean space(平坦な計量ds^2=dx^2_1+dx^2_2+・・・+dx^2_nを持つユークリッド空間)に局所共形的に同値であるというものである. この場合の多様体M^nは共形平坦多様体と言われる.我々の目的はWeylのConformal Structureの考えをRiemann幾何のみならず,他の幾何学に展開して,新たな幾何構造と不変量を見つけることである.もっと具体的に,与えられた一つの幾何構造において共形性(Conformal Equivalence)を定義する.その幾何構造において共形不変量(Conformal invariant)を構成する.このとき共形不変量が消滅(vanishing)するとき現われる幾何学(g,X)が何であるかを調べる.さらに消滅する共形不変量を持つgeometric多様体はモデル空間(g,X)に局所的に同型であること(Uniformization)を見る. 我々はこの問題に対し,幾何構造としては偶数(奇数)次元のときそれぞれKahler多様体(Kahler構造),CR多様体(Pseudo-Hermitian構造)を考え,また共形不変量として,それぞれBochner曲率テンサー,Chern-Moser-Webster曲率テンサーが対応することをみた.そしてその不変量(曲率テンサー)が消滅する時,新たな幾何学(g,X)として4っつの型のBochner Curvature Flat geometryとSpherical CR-geometryが出現することがわかり,さらに消滅する不変量(曲率テンサー)を持つ多様体Mはそれぞれ上の幾何学(g,X)にuniformizeされることを示した.
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